研究プロジェクト

研究プロジェクト

国際連携による法情報の共有IT環境の構築

アジアにおける経済・社会交流の深まりに伴って、漢字文化圏(日・中・韓・台)諸国の法情報の幅広い共有が求められてきました。しかし、従来、この共有は、あくまでも断片的・断続的なものでした。そこで、4カ国の法令翻訳用の標準翻訳辞書(法概念とその標準的な英訳、用法の注釈を含む)の開発とその連動を目指します。またこの連動によって、漢字文化圏の漢字法概念とその英訳の相互対照を実現します。
さらにこの作業を核として、漢字文化圏諸国との関連共同研究を推進し、わかりやすい多様な注釈情報を含む漢字文化圏の多言語法情報(法令、判例、社会経済情報等)を国際的に共有できるIT環境と比較法研究環境を成熟させることを目指します。

高度な翻訳用辞書データの集積

語源情報のように、法概念の翻訳の経緯も重要な翻訳情報となるため、日本法については、明治以降の翻訳(例:箕作麟祥によるフランス民法の翻訳)を活用して、漢字法概念の成立変遷過程についての電子的なデータを蓄積しています。
また、第二次大戦後の占領期に刊行された日本の英文官報のデータを検索可能な電子情報に転換し、これを使って、日本の標準翻訳辞書の品質向上を行います。
  
英文官報(Official Gazette, English Edition)を画像で見ていただけるようにしました。
詳細はこちら(英文官報の画像公開について)
 
明治民法(現行民法旧規定)仏語訳書籍(Code civil de l’Empire du Japon )を画像で見ていただけるようにしました。
詳細はこちら(明治民法(現行民法旧規定)仏語訳書籍の画像公開について)
 
旧民法(Code civil de l’Empire du Japon )を画像で見ていただけるようにしました。
詳細はこちら(旧民法仏語訳書籍の画像公開について)
 
憲法義解・同英訳書を画像で見ていただけるようにしました。
詳細はこちら(憲法義解・同英訳書画像公開について)

法制執務業務支援システム(e-LAWS)への技術支援 

総務省行政管理局が主導となり、2016年10月に本格運用を目指す法制執務業務支援システム(e-LAWS)への技術支援を行っています。e-LAWSは法案作成から公表までの一連の過程を電子化し、法令データの正確性を確保しつつ、業務の合理化を図るシステムですが、センターのこれまでの知見を活用し、よりよいシステムとするための技術的な助言を行っています。
  

法令平易化技術の開発

EU翻訳総局と連携して、翻訳技術を転用する形で、法令文の平易化技術を開発します。翻訳は、多数の過去の翻訳例を参照することで翻訳の質と一貫性を向上させることができます。その技術を文章の平易化を図るIT環境として提供します。
また、すぐれた平易化文を蓄積するデータベースの初期開発を行います。さらに、わかりやすい法令文を起草するためのマニュアルについて比較法的に考察します。

比較法研究者連携環境の構築とIT支援

比較法の観点から、相互比較に必要な専門的情報をタイムリーに交換できる人的仕組みとそれを支えるIT基盤を実験的に構築します。

学生による法令翻訳

日本政府は、日本法令の英訳に取り組んでいますが、法令を英訳できる人材は圧倒的に不足しています。
そこで、法令英訳ができる人材を育成するために、学生の翻訳訓練を実験的に行っています。法令を英訳するためには、法律を適切に理解した上で、その内容を英語文化圏に合わせて表現していく必要があります。そのため、この訓練プログラムでは、一般的な翻訳技能の訓練だけではなく、法を理解するために必要な基礎技能や法律情報の調査技能の訓練、諸外国の法制度の説明なども行っています。
また、Bilingual KWIC®をはじめとする翻訳支援の環境を用意し、そこで提供されるツール群を使いこなすことで、短期間の訓練で学生でも一定レベルの品質の英訳ができるようになることを目指しています。さらに、ネイティブスピーカーに協力を依頼することで、学生の翻訳の品質チェックをするとともに、結果を学生にフィードバックすることで、教育効果を高めます。
翻訳成果

 
pagetop